開業して仕事をしている方は、確定申告を済ませたあと、「これで一区切りついた」と終わらせてはいけません。
確定申告がおわったら、申告時につかった帳簿などを一度見直してみることをお奨めします。
この一年、きちんと利益を得ることはできたのか、この仕事の仕方でよかったのか、節税はできたのか。
こういったことを落ち着いてからチェックすることで、来年への心構えが変わってきます。
開業して得た報酬がそれで適正だったのかどうかということも解ってきますから、次の年はどのように仕事をすれば良いのか、報酬の設定など、更に飛躍していくために活かしていかなければもったいないですね。
確定申告をしたら、一年を見直そう
個人事業主の源泉徴収
個人事業主として開業し、仕事をしている場合、その報酬からは、通常10%の所得税が前もって差し引かれていることがあります。
これを源泉徴収といいます。
源泉徴収された所得税は、前もって納めた所得税ということになりますから、まずは支払明細を確認して、帳簿に付けるようにしましょう。
この前もって納めた所得税は、確定申告の時に計算される、確定した所得税額に比べて多かった場合、還付されます。
源泉徴収されていたら、取引先から忘れずに源泉徴収票、または報酬の支払調書をもらっておくようにしましょう。
個人事業主の経理
個人事業主として開業している場合、よく自分の口座から仕事用の口座にお金をいれたり、逆に仕事用の財布から個人的なものを備品と一緒に買ったり、なんていうこともあるのではないでしょうか。
しかし、あとで帳簿に付けようと思ったときに、どう計上して良いか解らなくなったりします。
このような場合、「事業主借」、「事業主貸」という経理の科目を使います。
これは文字通り、会社として事業主とお金の貸し借りをしたというもの。
つまり、自分の口座から仕事用の口座にお金を入れた場合は、事業主からお金を借りたので「事業主借」になり、仕事の財布から個人へお金が出たら、事業主にお金を貸したので「事業主貸」となるわけです。
よく逆になっている方がいますが、注意しましょう。
青色申告なら減価償却もできる
開業して仕事をしている方で、パソコンを持っている方がほとんどだと思います。
このパソコン、固定資産として計上できるのです。固定資産として計上できるということは、減価償却ができるということ。
つまり「減価償却費」として、実際にお金が出て行かなくても経費として計上できるわけです。
税金対策にはうってつけではないでしょうか。
さて、この減価償却とはどのようなものなのでしょう。
パソコンなどの固定資産は、それぞれ耐用年数というものが決められています。
この耐用年数により一年ごとに失われていく価値のことを減価償却と呼んでいるわけです。
減価償却は定額法という方法で行われるのが一般的で、毎年一定額が「減価償却費」として計上できることになります。
経理代行サービスってどんなもの?
最近は、公認会計士でもなく、税理士でもない、会計サービス業が現れ始めました。
公認会計士のように監査はできませんし、税理士のように税金の申告などの業務はできませんが、日々発生する経理の記帳などを代行してくれるサービスが多いようです。
確かに、経理の知識が浅く、また日々仕事で忙しくしていて記帳ができないような個人事業主、企業の方には大変ありがたいサービスだと思います。
日々の経理業務をアウトソーシングすることで、業務がはかどり、利益が増えるのならば、こういったサービスを利用してみましょう。
しかし任せきりではいけません。自分の会社が今どのような状態なのか、出てきた帳票から読みとれる力は付けて置いて損はないのではないでしょうか
税理士とは
税理士とは、税務申告などを行う資格です。税理士は、税理士の名称を用いて会計業務を単独で行うことはできませんが、税務とは無関係な領収書の整理、伝票の起票、元帳・試算表・決算書の作成などの会計業務も行ってくれます。
これは、会計代行という一業者としての仕事になってきます。
しかし、申告など、実際に税金に関する仕事をたくさんこなしているお仕事ですから、税金対策や、手続きの点で解らないことがあれば聞いてみるのに一番適している人たちなのではないでしょうか。
公認会計士とは
節税、税金対策を考えて、税理士さんや公認会計士さんに相談してみよう、と思う方もいらっしゃるでしょう。
この二つ、似ているようで少し違いがあります。公認会計士は、会計士試験をパスした人がなれます。
公認会計士は、税理士登録することで、税金関係の仕事ができるようになりますが、公認会計士だけができる仕事というものがあります。
それは会計監査業務です。これは主に、大企業に義務づけられている会計監査を行うというもので、個人事業主などにはあまりなじみがないかもしれません。
しかし、監査以外にも会計業務に精通し、決算書の作成だけでなく、会計や財務についての総合的な調査、立案、相談が行える資格ですし、税理士登録をすることで税務にも携わっていけるわけですから、相談してあまりあるだけの知識を持っている人たちだと言えましょう。
開業するなら国民年金基金も利用しよう
開業すると、年金は国民年金1本になります。
今までサラリーマンやパートタイマーとして働いておられる方は、厚生年金と国民年金の2階建ての保証が得られる形でしたが、開業すると1階建てに減るわけで、将来を考えると不安になってしまいます。
そこでお奨めしたいのが国民年金基金です。
国民年金基金は各都道府県に一つと、全国に職能型とよばれるものがたくさんあります。
自分でチョイスして入るわけですが、やはり毎月の負担が出てきます。
しかし、国民年金基金の掛け金は、社会保険料控除の対象になりますから、将来の保証と所得税の節税を考えると、お得な制度ではないでしょうか。
経理を学べば節税もできる?
開業する場合、複式簿記をつけなければならないけれども、節税を考えると多くのメリットがある青色申告を選ぼうという方は多いのではないでしょうか。
確かに最近は、会計ソフトもかなり良いものがたくさんあり、簿記にあまり詳しくなくても帳簿作成が簡単にできるようになりましたから、帳簿をつけることにあまりハードルは高くありません。
しかし、経理を学んでいるのと学んでいないのとでは、大きな差が出てきます。
やはり、経理を少しでもかじっていれば、いろいろな帳票の読み方が解り、自分の会社の状態が読みとれるようになれます。
状態が解ると言うことは、的確な節税の仕方も見えてくると思いますし、税理士さんにお任せするにしても、何も解らないまま丸投げする場合とでは雲泥の差が出ます。
仕事の合間にでも、本格的でなくても、経理を少し勉強してみましょう。
個人事業の税金対策
個人事業主として開業した場合、節税対策にはどういったことが大切なのでしょうか。
まず、必要経費をもれなく計上することが有効です。
経費はどこまで認められるのかを把握し、忘れずに領収書をもらう癖を付けましょう。
また、自宅をオフィスとして利用している人は、仕事をしている範囲の分の家賃や光熱費を経費として計上できます。
次に、確定申告を白色申告にしているのならば、控除額の多い青色申告にし、面倒でも複式簿記で帳簿をつけ、65万円控除を受けるようにすることです。
あとは他の所得税控除を理解し、この制度を利用しましょう。
面倒かもしれませんが、小さなことから還付金が変わってくるのです。
開業、法人化のメリット
開業をするならば法人化してしまい、会社を興せば節税の点では有利です。
まず、収入が「給料」となりますので、収入によってはサラリーマンと同じように年末調整が出来ますから所得税の節税になり、また会社においても給料は経費になりますから、節税になります。
また家族を従業員にして「給料」として支給することで、収入の分散ができます。
さらに赤字が出ても、その赤字を7年間まで翌年に繰り越すことが出来ます。
ただ、法人化にはデメリットもあります。
開業に資金が必要なこと、手続きが煩雑なことなどです。
メリットとデメリットを考えて、法人化を選ぶか個人事業主を選ぶか、チョイスしましょう。
開業したときの節税の心構え
個人、法人と、開業するには二つの選択があります。
どちらを選ぶにしても節税を考えないといけませんが、節税を考える前にまず、利益が出ているかかどうかを考えなければいけません。
利益が出たときに税金は発生する訳なのですから。
まず自分の懐具合を確認し、また帳簿をきちんとつけることで、今どういう状態にあるのかを把握することから、節税は始まります。
会計士さんなどに相談するのも手ですが、丸投げしてしまうのではなく、相談しながら自分の状態を把握しておくことが、とても大事なことなのです。

